クラブ会長就任(沈黙の祈り)

ロータリーの友1978年10月号  安積得也 (東京南)

 東京南クラブの例会は毎週木曜日、会場は東京会館である。今年度の初例会は去る七月六日であつた。この日、一寸したサプライズがあつた。沈黙の祈りである。
 型の如き点鐘についで、黒澤張三新会長は口を開いた。
「只今から通算一四二七回の例会を開きます。本日は新年度になり初めての例会でございます。私はこの一年間会長を勤めさせていただく黒澤でございます。会長としてのご挨拶は、後ほど致すことにして、今日は月初めの例会ですので従来のしきたりにより、まず国歌とロータリーソングを歌つて、会のプログラムを進めてまいりたいと思います」そう言つて黒澤会長は会場を見渡した。彼は語調をあらためて「さて」と言つた。
「今この様にあらたまつた気持でこの台に立つてみますと「どうか、この一年間、世の中が平和であり、そして会員の皆様が一層ご健康で、ロータリーの良き働きと良き楽しみに満ち溢れた年であつて欲しい」と祈りたい気持ちで一杯であります。もし皆様のお許しが得られるならば、少しの時間をいただき、この祈りを込めてみたいと思います」敬虔な空気が会場を支配した。
 黒澤会長は低い、しかも強い声で「ロータリーの弥栄をお祈り下さい」と言つた。沈黙の数十秒がもたれた。これは東京南クラブとして初めての経験である。勿論、物故者への黙祷はある。しかし、クラブ例会での平和と幸福への「沈黙の祈り」は初めてである。
 私は二年前アメリカの旅でワシントンを初め4クラブの例会に出席した。どこの例会も祈りの言葉に始まつた。私にとつてアメリカの例会での「七つの驚き」の筆頭は「祈りがある」ことであつた。
 東京南で「沈黙の祈り」が実行されたことは、私にとつて画期的の驚きと喜びである。たまたまビジターとして来場の藤山一郎氏も「心から同感」と敬意を表した。同じく来会の東ケ崎元RI会長も先代黒澤ロータリアンの逸話をひきながら、ヤング黒澤の勇断を賞揚された。


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